家族信託と遺言書、成年後見制度の違いとは?
身近な街の法律家 行政書士の任田です。
今回は家族信託と遺言書、成年後見制度の比較をしながら、
どのように財産分与を組み立てていけばいいかを記載していこうと思います。
3つの制度にはそれぞれ特徴がありますので、うまく使いわけていけるといいですよね!!
家族信託と遺言書の違い
皆さんは相続対策と聞くと、何を想像しますか?
一般的に「遺言書」を想像される方がほとんどです。
遺言書は、知ってのとおり自分自身が亡くなったときに、誰にどの遺産を取得させるかを決めることができるものです。
しかし逆に、短所とも言えますが自分自身が亡くなったとき以外は、遺産に関してどうすることもできないと捉えることができます。
遺言書も家族信託も、自分の意志が書面になって作成されるため、通常では法律で有効となります。
また、遺言書では家族間の合意が必要ないため,そこは遺言書の長所と言えます。
「じゃあ、やっぱり遺言書でいいよね。」と思う方もいると思いますが、
前述の亡くなったとき以外は、遺産に関してどうすることもできないというのが重要になってきます。
家族信託では、財産を託すのが生前であっても、死後であっても財産を託すことができ、遺言書ではできないことができます。
こうしたことから、「障害のある子どもが困らないようにしたい」、「孫に不動産を渡したい」といった自分の意志を残すために
遺言書と家族信託を併用して組み立てているケースが増えてきているのです。
⇒家族信託の基本的な情報はこちら
家族信託と成年後見制度の違い
では次に成年後見制度ですが、
成年後見制度は「認知症などで判断能力を失うかもしれない」と不安を抱える人を助ける制度です。
制度自体は「名前は聞いたことがあるよ」とまだまだこれからの高齢化社会を考えても、必要な制度だと思っていますが、
この制度が依頼者様の本当に最善の策であるかはコスト面も含めて、慎重に検討することをお勧めします。
成年後見制度では、例えば認知症になった父親の代わりに老人ホームなどの支払いを行ったり、
不動産の売却、遺産分割協議も本人に代わって行うことが可能です。
基本的にはあくまでも本人の財産の保全が主な内容になります。
ただ、財産管理と言ってもできない財産管理もあります。主なものを2つ挙げると、
・生前贈与・・・単に資産を減らすことになるため認められません。
・不動産の購入や事業拡大の投資・・・本人にメリットがあっても認められません。
*保全以外の資産活用は、「背任行為」とされるので気を付けなければなりません。
もう一つデメリットとしては、前述したコスト面になりますが、本人の判断能力が回復するか亡くなるまで支払い続けなければならないということです。
⇒成年後見制度の基本的な情報はこちら
では家族信託ではどうなのか?
コスト面でいくと、信託契約に係る面談、設計、書面作成費用と報酬費用が発生するだけなので、
成年後見制度に係る費用と比べると軽くなります。
また成年後見制度では資産の売却などをした場合には裁判所への報告や許可が必要になりますが、
家族信託ではそういった制約もないので、自由に行うことができるのはメリットと言えるでしょう。
運用や投資で得た収益を受益者に還元できるのも、家族信託ならではのメリットとなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
遺言書、成年後見制度、家族信託にはそれぞれ長所と短所があります。
うまく3つの制度を駆使して、組み合わせることでより良い選択を見つけることもできます。
なかなかご自身でその選択肢を見つけるのが難しいと思われる方は、一度ご相談ください。
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今回もブログを最後までお読みいただきありがとうございました。
少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。では。