【中小企業の味方】下請法で取引の「不利」をなくす

~値上げ交渉の正当化を考える~

はじめに

原材料費や人件費が上昇するなかで、「単価を上げたいけれど、元請けには言いづらい」という声を多く聞きます。
しかし実は、こうした課題の背景には**「下請法」**が深く関わっています。
この記事では、講習内容を踏まえ、中小企業が不当な取引を防ぎ、適正な価格交渉を行うための実践的ポイントをお伝えします。


1.下請法とは?

「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)は、親事業者による不公正な取引行為から中小企業を守る法律です。

1956年に独占禁止法の補完法として制定され、

  • 取引の公正化
  • 下請事業者の利益保護を目的としています

特に近年は、

「賃上げと労務費転嫁を両輪に」
という標語のもと、価格転嫁(値上げ)を促進する国の方針が打ち出されています。


2.こんな行為は下請法違反の可能性あり!

下請法では、親事業者が行ってはいけない行為(禁止事項)を明確に定めています。
代表的なものは次の通りです。

禁止行為具体例
受領拒否納品したのに「今回は使わない」と受け取りを拒む
支払遅延期日を過ぎても代金を支払わない
下請代金の減額一方的に「コスト削減で単価を下げる」と通告
買いたたき不当に安い価格で発注
不当返品完成品を勝手に返品する
経済上の利益の提供要請接待・寄付・協賛金を強要する

これらは「よくあること」では済まされず、違反時には公正取引委員会・中小企業庁による勧告・公表・指導が行われます。


3.下請法を知るメリット

下請法を理解している企業は、取引先との交渉や契約で明確な立場を取ることができます。

✅ メリット①:不当な取引を防げる

発注側の要請に「下請法第○条に違反する可能性があります」と根拠をもって対応できます。

✅ メリット②:価格転嫁の正当性を主張できる

「労務費や材料費が上昇しており、価格改定が必要」という説明に、下請法および下請中小企業振興法が支えになります。

※中小企業庁は令和5年度以降、

「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」
を発表し、元請に対しても適正な価格反映を求めています。

✅ メリット③:行政相談で守秘対応してもらえる

「取引を切られるかも…」という不安があっても、匿名相談が可能です。
(公正取引委員会「下請Gメン」も訪問・調査を行っています。)


4.値上げ交渉の進め方とポイント

① 原価上昇の根拠を整理する

  • 材料費、人件費、エネルギー費の上昇率をデータ化
  • 見積り比較や仕入先通知書などを添付できると有効

② 書面で要請する

電話や口頭では誤解が生じます。
正式な文書で「協議依頼」として提出するのが基本です。

③ 協議を記録する

協議日、担当者名、合意経過を記録。
必要に応じて契約書または覚書を作成しておくと安心です。


5.値上げ交渉書面テンプレート

※本書面は行政書士が実務で使用しているフォーマットをもとに構成しています。
貴社の実情に合わせて文面調整を行ってください。


【価格改定のお願い(協議依頼書)】

令和〇年〇月〇日
〇〇株式会社 御中
                         〇〇株式会社
                         代表取締役 〇〇〇〇

拝啓 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、昨今の原材料費・エネルギー費・人件費の高騰により、
当社の製造・提供コストが大幅に上昇しております。
これまで自助努力により吸収してまいりましたが、
現状の価格水準を維持することが極めて困難となっております。

つきましては、下請代金支払遅延等防止法の趣旨および
「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に基づき、
下記のとおり価格改定のご協議をお願い申し上げます。


【改定内容】
現行単価:〇〇円 → 改定後単価:〇〇円(〇%アップ)
改定予定日:令和〇年〇月〇日納品分より

【改定理由】
・主要材料(例:鋼材)の価格上昇率:前年対比+〇%
・労務費上昇(最低賃金改定、求人難対応など)
・エネルギーコスト上昇


誠に恐縮ではございますが、
貴社との良好な取引関係を継続し、安定供給を維持するためにも
ご理解とご協議のほどお願い申し上げます。

ご不明点等ございましたら、別途ご説明の機会をいただけますと幸いです。

何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具


6.行政書士ができるサポート

行政書士は、単に契約書を作るだけでなく、
**「取引リスクの可視化」や「価格交渉の法的裏付け」**を支援します。

  • 下請法に適合した契約・発注書の作成
  • 値上げ交渉書面や説明資料の作成サポート
  • 下請Gメン・行政窓口への相談書面作成

中小企業が正当な対価を得て、健全に経営できるよう、
「法を武器にする支援」を行っています。


まとめ

下請法を知ることは、“攻め”の交渉の第一歩です。
「不当な値下げを防ぐ」だけでなく、「適正な価格を堂々と主張する」ための法律です。

💬「泣き寝入り」から「対等な交渉」へ。
それを後押しするのが、下請法の本当の力です。


私は中小企業庁・公正取引委員会主催の「下請法講習会」を修了し、実務で下請法を活用しながら中小企業の取引改善を支援しています。
私が実際に講習を受けて得た、修了証はこちらです。
ご興味ある方は、1日あれば学べるので、ぜひとも受講してみてください。
サイトのリンクを貼っておきます。

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