【相続の落とし穴】登記事項証明書に載っていない「消えた車庫」?名寄帳で見つけた未登記物件の正体と対処法
「亡くなった主人の不動産を、そろそろ私の名義に変えたい」
先日、そんなご相談をいただきました。
ご主人が亡くなられてから10年余り。大切な節目でのご相談です。
(*登記に関しては、すべて提携先の司法書士事務所に依頼しております)
通常、相続の手続きでは自宅で保管してある権利書などを確認しますが、実はそれだけでは不十分なケースがあることをご存知でしょうか。
今回のケースでは、町役場で取得した「名寄帳(なよせちょう)」という書類が、思わぬ事実を教えてくれました。
名寄帳とは?
名寄帳を一言でいうと…
「その市区町村内で、その人が持っている不動産の『まとめ一覧表』」です。
法務局の登記簿が「不動産中心」の記録なら、名寄帳は「人中心」の記録。持ち主ごとにすべての不動産を紐付けてリスト化しているため、相続の場面では次のような「隠れた不動産」を見つけるための強力な武器になります。
1. 登記簿には載っていない「謎の車庫」の発見
ご自宅の土地と建物の登記を確認し、いざ手続きを進めようとしたところ、名寄帳の中に「登記されていない車庫」が含まれていることが判明したのです。
見た目は立派なコンクリート囲いの車庫。
しかし、法務局のデータには存在しない、いわゆる「未登記物件」でした。
「登記されていないなら、放っておいてもいいのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、未登記のまま放置すると、将来売却しようとした時や、お子様世代が相続する際に「誰のものか証明できない」というトラブルの種になりかねません。

2. 専門家が考える「3つの選択肢」
このような未登記物件が見つかった場合、法的なアプローチは主に3つあります。
- ① 今からでも登記をする(将来の売却に備える)
- ② 市町村役場の名簿だけ書き換える(税金の支払い先を正しくする)
- ③ 思い切って解体する(問題を根本から消す)
「どれが一番いいの?」と迷われるところですが、ここで鍵となったのは、その建物の「現在の価値」でした。
3. 評価額は「ランチ1回分」!?
今回、詳しく調べてみると、その駐車場の固定資産税はわずか1,400円程度。
築40年以上が経過し、現在は物置として使われていました。
もしここで、何十万円もかけて専門家に依頼し、新しく登記(表題登記)をしたとしたら……。
固定資産税1,400円のものに対して、あまりにもコストが見合いません。
4. 今回のベストな解決策
結論として、今回の依頼者様は「現状維持」を選択しました。
町役場に確認したところ、すでに土地・建物の名義変更に合わせて、町役場側の名簿も奥様名義に更新されていたため、追加の手続きすら不要であることが分かりました。
「余計な費用をかけず、かつ将来のリスクもしっかり説明して、安心して使い続けていただく」。
これが、今回のケースにおける最善の着地点になったと思います。
5. まとめ:相続は「名寄帳」の確認から
相続登記の義務化も始まりましたが、大切なのは「登記事項証明書に載っているもの」だけではありません。
- 家の隅にある古い倉庫
- 後から付け足した車庫
- 先代から引き継いだ未登記の私道
これらは、名寄帳を読み解く力のある専門家に相談して初めて見つかるものです。
「うちの敷地、変なものはないかしら?」と少しでも不安になったら、ぜひお気軽にご相談ください。
隠れた「未登記物件」まで、しっかり丁寧にお調べいたします。
また相続登記に必要な遺産分割協議書でも、通常と違う記載が必要になりますので
参考資料を公開しておきます。
赤矢印のような記載を行います。

いかがでしたでしょうか?
このブログを読んでくれた皆様のお力に少しでもなれたら嬉しく思います。
ありがとうございました。
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