遺言書に書かれた内容を実行するには?
遺言の執行
身近な街の法律家 行政書士の任田です。
大切なご家族がお亡くなりになり、遺言書が見つかった場合、その内容を実行していくにはどうすればいいのでしょうか?
今回はその内容で記載していこうと思います。
まず、遺言書に記載されている内容を実行していくことを「遺言の執行」と言います。
そしてその遺言書に「遺言執行者」が指定してある場合は、すぐに連絡をとるようにしましょう。
遺言執行者とは、遺言執行に必要な一切の権限を持ち、相続財産の管理や認知、相続人の廃除・取り消しができる者のことを言います。
この遺言執行者が遺言書の内容で相続人などに相続財産を交付していくことになります。
遺言執行者を指定するメリットとしては、2つのポイントがあります。
①遺言執行者しか行えない事項の実現(下記の3点は法律上、遺言執行者が必要なケース)
・子の認知
・相続の廃除
・相続廃除の取り消し
②遺言を執行する上で、相続人間の争い(争続)を最小限に抑える(事実上、遺言執行者が必要なケース)
・相続人全員の協力が得られないとき
遺言執行者の選任申し立て
先程にも記載しましたが、遺言執行者が必要なケースがあり、遺言書で指定していない場合や遺言書に指定されていた遺言執行者が亡くなっている場合は、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることができます。
この申し立てができるのは、相続人や遺言者の債権者、遺贈を受けた者など利害関係者となります。
遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てしていきます。
申し立ての費用として、遺言書1通につき収入印紙800円分、連絡用の郵便切手
必要書類は、遺言執行者選任の申立書、遺言者の戸籍謄本(除籍、改製原戸籍も含む)、遺言執行者候補者の住民票または戸籍附票
遺言書の写しまたは遺言書の検認調書謄本の写し、利害関係を証する資料などになります。
遺言執行者は、未成年、破産者以外の者であれば、誰でもなることはでき、法人でも可能です。
そして相続人でも執行者になることはできますが、様々な利害が絡む以上速やかに遺言の執行をしていくためには、利害関係のない第三者の方が適当であると言えます。
遺言執行者の任務
さて、実際に遺言執行者に指定された場合に何をしていけばいいのでしょうか?
また、「そもそも、遺言執行者になんで従わないといけないの?」こんな会話もでるかもしれません。
その答えは、民法1012条1項に、こう定められています。
【遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する】
このようにとても強い表現で法定されているのがわかります。つまり、法律で決められているからなんですよね。
それをふまえて、「じゃあ何をするの?」を以下に執行者の任務として記載していきます。
①相続人・受遺者に、遺言執行者の就任を通知する
②相続財産目録を作成し、相続人・受遺者に交付する
③遺言を執行する
イ)受遺者に対して、遺贈を受けるかどうか意思確認をする
ロ)認知がある場合は、市区町村役場に認知の届出をする
ハ)相続人廃除の遺言がある場合は、家庭裁判所に廃除の申し立てをする
二)不動産がある場合は、所有権移転登記の申請手続きをする
ホ)金融資産などの名義変更手続きをする
へ)相続財産の管理、その他一切の遺言執行に必要な手続きをきを行う
④遺言の執行終了後、相続人・受遺者に経過および結果を報告する
まとめ
いかかでしたでしょうか。
遺言書で遺言執行者を指定しておくことが、残されたご家族がスムーズに相続を行う流れになると思います。しかしながら、遺言執行者の指定についても相続人が指定されればなかなか大変ではないかと思います。
もしそのようなお考えに辿り着くのであれば、第三者への依頼を検討されるのがやはりいいのではないかと思います。
また、どうしても相続人のひとりに指定したいということであれば、第三者に遺言の執行の事務手続きを委託する方法や複数人指定する方法などもあります。
とうだ行政書士事務所でも遺言執行者のご相談はさせていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも皆さまにお役に立てれば幸いです。
それでは。