未成年者の相続
未成年者の代理人は親権者!?
身近な街の法律家 行政書士の任田です。
前回は成年被後見人の相続について記載しましたが、今回は未成年者について記載していこうと思います。
「未成年者の代理人は、親でいいんでしょ?」と思いますよね?
そう、普通の法律上の判断を行ううえでは、確かに親が未成年者の代理人として判断します。
しかし、相続においては利害が対立することもあるため(利害相反行為と言います。)、特別代理人が必要となります。
ここらへんをもう少し具体例を交えて深堀していきます。
相続人は特別代理人にはなれない
例えばですが、家族が4人で、父が死亡し、相続人は母、子供2人(長男15歳、次男12歳)だったとします。
この場合、子供2人には特別代理人が必要になるということです。
遺産分割協議においては共同相続人の間で遺産をどのように分けるかを話し合う場であり、相続人の間で利害が対立してしまいます。
母親は親権者ではありますが、もし相続人である母親に相続人である子供2人の代理を認めてしまうと、母親の有利に遺産分割を決めてしまうこともできてしまいます。
「そんなことする親はいないよ」と聞こえてきそうですが、法律で決まっていますので特別代理人を選任しなければなりません。
なんとかならないの?っていう場合に例外パターンもあります。
⑴母親が相続放棄をする
これは母親が相続放棄をすることにより、相続人ではなくなるため、相続人が未成年者のみの場合は、母親が代理をすることができます。ただし、親が代理できるのは1人だけですので、複数人の未成年者がいる場合は他の子供には特別代理人が必要となります。
⑵母親が内縁の妻の場合
こちらも稀なケースですが、未成年者が前妻の子で母親が内縁の妻の場合、母親には相続権がないため、子供1人に対しては、代理をすることができます。
特別代理人の申し立て
特別代理人を申し立てるには子の住所地の家庭裁判所に申述します。
申立人は親権者、利害関係者になります。
通常、特別代理人は未成年者との関係や利害関係の有無などを考慮して判断され、
未成年者の叔父や叔母などの親族のほか、弁護士、司法書士などが選任されることもあります。
期間としては、遺産分割協議が終わるまでになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
遺産分割するにあたって、「そんなことをしないといけないの?面倒だから、そのまま遺産分割しちゃいましょう」って思う人もいるかもしれませんが、特別代理人の指定が必要であるにもかかわらずに行われた遺産分割協議は無効と考えられますので、後から揉めないようにきちんとしておくことをオススメいたします。
今回もとうだ行政書士事務所のブログを最後までお読みいただきありがとうございました。
些細な事でも相続の専門家であるお近くの行政書士にご相談ください。きっとお力になれると思いますので。
では。
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